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Vol.19 シチリアの赤いオレンジ

シチリアの赤いオレンジ

パレルモからカターニアに向けてバスに乗り、

シチリアのへそ、エンナを過ぎて程なくすると、一大オレンジ産地を通ります。

オレンジの畑があたり一帯に広がり、その背景に雪を抱くエトナ山という

美しい風景は私の好きなシチリアの冬の風物詩です。

 

ゲーテの「君よ知るや?レモンの花が咲きオレンジがたわわに実る南の国」

青い空にたわわに実るオレンジが太陽の光を受け黄金色に輝く様子は

シチリアを旅したゲーテの心に強烈に刻みついた風景だったのでしょう。

アルジタル シチリアレポート モッタ サンタアナスタシア

▲IGP Arancia Rossa di Siclia(シチリアの赤いオレンジ)の産地のひとつ、エトナ山の麓にあるモッタ・サンタ・アナスタシア

 

かつてイタリアにやって来た日本人が赤いジュースを見て、

「トマトジュースだと思って飲んだら、オレンジジュースでビックリした」

という話はよく聞きました。

 

当時日本ではあまり知られていなかった赤いオレンジはイタリアではとてもポピュラーで、

その赤いオレンジはシチリアで生産されています。

 

12月くらいから市場に出始め、2月くらいにピークを迎えます。

この時期シチリアのいたるところでたわわに実るオレンジの木を見かけます。

 

収穫期には生産者さんが小型トラックにオレンジを山積みにして道筋で売っていますが…

一キロあたり0.60ユーロという安さ。Dolcissimo/ドルチッシモは最高に甘いという意味です。

一キロあたり0.60ユーロという安さ。Dolcissimo/ドルチッシモは最高に甘いという意味です。

 

大きさにもよりますが、中位のオレンジなら1㎏で4個ぐらい、

オレンジジュースが二杯くらい絞れます。

最盛期には1キロあたり0.3ユーロも見かけます。

ミネラルウォーターよりも安い!

さすが産地とはいえ驚くほどの安さです。

 

かつてアラブ人がレモンやオレンジの柑橘類をもたらしたおかげで、

シチリアはオレンジ、レモンの一大生産地なのです。

 

アラブ人がシチリアに持ち込んだオレンジは、ビターオレンジ(和名はダイダイ)。

常緑で、早春に花をつけ冬に果実が黄熟します。

冬を越えても収穫しなければオレンジはなったままです。

 

ビターオレンジは酸っぱく、苦味もあるためそのままでは食用には不向き、

アラブ人ももっぱら街路樹として植えていたのです。

 

一年中緑が街に潤いを与え、橙色の実がなっていると華やかな雰囲気ですし、

白い花をつける春先は甘酸っぱい芳香が漂います。

まさに街路樹にはうってつけです。

今でもシチリア各地でオレンジの街路樹が見られます。

花が咲くのは例年4月ごろ、翌年の実となるべく、白いかれんな花が咲くのです。

この時期運良くオレンジの産地を通ると、一面甘酸っぱい芳香に包まれます。

 

アラブ人がビターオレンジを持ち込んで以来、何世紀にもわたって、

突然変異などから新種がうまれたり、品種改良などが

繰り返され現在のような甘いオレンジができました。

 

新種はすでに根を伸ばしている台木に接木をするのが普通で、

この台木には原種に近いビターオレンジが使われます。

 

さて、シチリアのブラッドオレンジ(赤いオレンジ)は、

Arancia Rossa di Sicilia(シチリアの赤オレンジ)としてIGP指定の特産品です。

 

生産地はエトナ山麓を中心とした、カターニア県からシラクーサ県、

ラグーサ県とエンナ県の一部にかけてひろがります。

 

一般のオレンジと比べると、赤い色素にポリフェノールの一種

アントシアニンが多く含まれています。

アントシアニンの抗酸化作用は大変注目されていますよね。

 

ブラッドオレンジは大きく分けるとサングイネッロ種、タロッコ種、モーロ種の3種類があり

栽培地や種類によって10月~4月ごろにかけて収穫されます。

 

一番古くからあるのがサングイネッロ種で、そこから生まれたのがタロッコ種とモーロ種。

ともにシチリア生まれの品種です。

 

モーロは黒人というような意味があり、モーロ種のオレンジは

非常に濃い赤、黒々とした赤い色が特徴です。

 

タロッコ種は付け根の部分が突き出たような形に特徴があります

(上の写真のトラックのオレンジがタロッコです)。

 

赤みは少なめですが、酸味と甘みのバランスがよく、

ブラッドオレンジの王者ともいえ、シチリアで生産される

ブラッドオレンジも60%以上がこの品種と言われています。

 

次回の「アルジタル シチリアレポート」では、農園レポをお届けします。

アルジタル シチリアレポート

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