Vol.41 古き良き時代のタオルミーナの面影を残す市民公園 その1
タオルミーナは温暖な気候、風光明媚さ、変化に富んだ比類を見ない美しい風景、建築美、遺跡など多様性のある魅力で人々を惹きつけ、著名な作家や芸術家たちがここを訪れてきました。
最も有名なのは、なんといっても18世紀にここを訪れたゲーテでしょう。
ゲーテはイタリア紀行の中で「シチリアなしのイタリアというものは、われわれの心中に何らの表象もつくらない。シチリアにこそ全てを解く鍵があるのだ。」と記しています。
レモンの花咲く南の国、北の国から来たゲーテにとって強い太陽に照らされるシチリアの地で見たもの全てがその強い色彩とともに強烈な印象となったようです。
19世期後半以降には画家のオットーゲレング、写真家のウィルヘルム・フォングローデンなどの芸術家たちがタオルミーナを世に知らしめ、DHローレンス、モーパッサンなどの作家、他にもたくさんの人々がこのタオルミーナを訪れました。この時代に旅できる人々は上流階級の人々です。
旅といっても今のように数日とか1週間でなく、数ヶ月、数年といった長いスパンでやってくるのです。美しい眺めの庭のあるヴィッラが次々と建てられていきました。
タオルミーナのホテルには、ヴィッラ・ディオドーロ、ヴィッラベルヴェデーレ、など、ヴィッラと名のつくホテルが多いですが、元々はこういった19世紀後半以降に建てられた貴族の館だったところがホテルになり、建物が当時のまま残っているところもありますが、改装したり建て直して名残として名前だけは残っているところもあります。
ヴィッラはお庭付きのお屋敷ということで、こういったホテルにはお庭やプールが備わっているので素敵です。(名前に「ヴィッラ」がついてなくてもこういったお庭とプール付きのホテルも、もちろんあります。)
ヴィッラコムナーレ(市民のヴィッラ)と呼ばれる市民公園、ジャルディーノ・プッブリコもこの時代の賜物です。
19世紀末にレディ・フローレンス・トゥレヴェリヤン(Lady Florence Trevelyan)というイギリス人貴族女性によって作られた、いわば筋金入りのイングリッシュガーデンです。
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原 志津子/shizuko hara
シチリア州公認ガイド、日本語通訳。 当地在住14年(2016年時点)になりますが、歴史と文化の薫る、美しい自然のシチリアが大好きです。
日頃よりシチリアを中心に旅行客の皆様をご案内しながら、 素晴らしいシチリアの魅力を少しでも多くの皆様に知ってもらいたいと思っています。
自らも、おいしいものと旅が大好きで、愛車TOYOTA YARISでシチリア中をまわり歩く個人旅行者です。
趣味はシチリアの豊富な食材を使った料理で、得意料理はイカスミリゾット、カポナータ。
http://www.shizukohara.com/