Vol.43 古き良き時代のタオルミーナの面影を残す市民公園 その3
19世紀末にレディ・フローレンス・トゥレヴェリヤン(Lady Florence Trevelyan)というイギリス人貴族女性によって作られた、筋金入りのイングリッシュガーデン「ジャルディーノ・プッブリコ」に関する記事です。
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この庭園は、夫人の遺言で夫のカチョーラ氏が相続し、1927年にカチョーラ氏が亡くなると市に寄付され市民公園となりました。近年町では公園の名称をフローレンス・トゥレヴェリヤン公園に改めています。
様々な植物が自然に配され、レンガや小石をうまく使ったプロムナードも、薄茶色の色彩が、周りの自然ととても調和しています。
シチリアの気候風土を生かしたパームツリーやオリーブ、ドラセナ、ブーゲンビリアといった南国的な植物がたくさんみられます。
また、この土地はここより先はほぼ絶壁という急傾斜が海岸線まで続く、町のキワにあります。そのためにここからはイオニア海からエトナ山にかけての素晴らしい眺望がご覧いただけます。
この眺めを最大限に楽しめるように海側にはプロムナードが付けられています。
公園内にはトゥレヴェリヤン夫人の銅像があります。
市民公園になってから、子供の遊び場や、戦没者記念碑なども作られています。
シチリアは第二世界大戦中に戦場になったので、どこの街からもたくさんの方が戦争に駆り出されました。
そのためシチリア中どこの町にも、必ずこういった戦没者のための記念碑というものがあります。
こちらタオルミーナにはもう一つ戦時中のもので興味深いものがあります。
こちらは実際に戦時中に使われていた魚雷です。2人の兵士が敵艦目掛けて進んでいき射程距離に入ったらそのまま魚雷は進むのですが、兵士はそこから逃げて泳いで帰ります。
日本のように自滅する神風という発想はイタリアにはありませんでした。日本とのメンタリティの違いが現れていますね。
ところで、フローレンス・トゥレヴェリヤン夫人といえば、タオルミーナの風光明媚な島イゾラベッラも所有していました。次回はこのイゾラベッラをご紹介します。
公園の様子はYouTube でご紹介していますので宜しかったらそちらもご覧ください。
▼タオルミーナ市民公園と絶景展望台
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原 志津子/shizuko hara
シチリア州公認ガイド、日本語通訳。 当地在住14年(2016年時点)になりますが、歴史と文化の薫る、美しい自然のシチリアが大好きです。
日頃よりシチリアを中心に旅行客の皆様をご案内しながら、 素晴らしいシチリアの魅力を少しでも多くの皆様に知ってもらいたいと思っています。
自らも、おいしいものと旅が大好きで、愛車TOYOTA YARISでシチリア中をまわり歩く個人旅行者です。
趣味はシチリアの豊富な食材を使った料理で、得意料理はイカスミリゾット、カポナータ。
http://www.shizukohara.com/