Vol.33 シチリアのお正月
あけましておめでとうございます。
イタリアでもこの時期は祝福の言葉が飛び交います。
“BUON ANNO ブオナンノ” あけましておめでとう。
直訳すれば、良い年、年が開ける前にも良いお年を!という意味で使います。
“AUGURI アウグーリ”とにかくおめでたい時に使う言葉で、日本のおめでとうと一緒です。
さらに今やSNSの時代なので、携帯にはおめでとうメッセージ、画像、動画が飛び交います。
日本ではLINEが主流ですが、イタリアではWhatsApp。
LINEのようなスタンプはありませんが、
絵文字や動画、画像、音声など、個別チャット、グループチャットが一斉に入ってきます。
日本の新年は除夜の鐘がなり、厳かに年が開ける、
年が明けて初詣、初日の出など、
自然への畏敬の念を感じるような厳かな新年ですが、イタリアはどうかというと。。。
年越しは、賑やかです。
クリスマスは家族で食卓を囲みミサに行ってという感じですが、
大晦日はだいたいどこの街でもメインの広場にステージを作って、カウントダウンのイベントを行います。
イタリア人は喜びを大勢で分かち合うのが大好き、なので、サッカーの試合でも自宅で見るのではなく、バールなどで特設に備える大スクリーンで大勢で一緒に見る、なので新年のカウントダウンも皆で集まって喜びをシェア。
今年は私はシラクーサで年を越したので、皆が集まるドゥオーモ広場に行ってきました。
広場に入るのに簡単なセキュリティチェックがありました。そしてビン持ち込み禁止。
爆破物を使ったテロ対策ですが、そのために従来だったら新年とともに一斉にシャンパンを開けて乾杯ですが、それができなくなりました。
▼こんな感じでドゥオーモ広場も人で埋め尽くされています。
特設舞台ではシチリアのミュージシャンやダンサーがパフォーマンス、
30秒前からスクリーンにカウントダウンがはじまりましたが、
皆が声を揃えてカウントダウンしたのは10秒前くらいからです。
そして、
5(チンクエ)
4(クワットロ)
3(トゥレ)
2(ドゥーエ)
1(ウーノー)
AUGURIII アウグーリー!!
新年とともにそこら中で花火が上がり
一緒に来た人とほっぺでキスを交わしながらおめでとう!!!!を言い合います。
そして皆一斉にWhatsAppでメッセージ配信、電話をかけるなど。。。。
新年の瞬間カメラ不具合で撮り損ねまして残念ながら、その様子をお伝えできませんが、その後もド派手な光と炎のパフォーマンス
私は翌日仕事なので午前一時には切り上げましたが、なんとその時間でも続々人々が広場に向かって行くのには驚きました。
知り合いは2時には引き上げたけどまだまだ続いていたわよとのことでした。
いやぁ、実にパワフル。
さて、年越しというと、日本では細く長くという意味を込めて、年越しそばですが、イタリアではレンズ豆。
これは、レンズ豆を食べるとお金が入るといわれる縁起物です。
レンズ豆は古代より地中海で広く栽培されていた豆で、ギリシャでも13,000年前~11,000年前ごろに栽培されていた記録があり、エジプトの墳墓からもレンズ豆の化石が出土しています。
旧約聖書、ヘブライ語聖書『創世記』にもレンズ豆が登場します。
旧約聖書によると、イサクの双子の息子エサウとヤコブ、エサウは狩から帰って空腹のあまりヤコブの作ったレンズ豆を望み、その代わりに長男の家督を継ぐ権利を譲ると約束します。
このヤコブはのちに財産を築き、その12人の息子(ちなみに妻は4人)がイスラエルの12の部族の始祖となるのです。
こんなところから、レンズ豆=金運と考えられたようです。
イタリア人は大の縁起担ぎ好き、しかも金運となったら誰でも飛びつく!のでどこの家庭の食卓でも、レストランでも大晦日は皆必ずこれを食べます。
この大晦日にレンズ豆を食べるという風習はなんと古代ローマ時代から続いているそうです。
これと一緒にコテキーノ、あるいはザンポーネを食べます。
どちらも同じような豚の肉や油の細かく切ったものをスパイスとともに、豚足あるいは腸詰したものです。
コテキーノやザンポーネは時期になると真空パックで売っているので、そのまま温めて切り分けるだけ。
レンズ豆は以前ご紹介したレシピをもう少し煮詰めた感じです。
私ももちろん!広場に行く前に友人宅で頂きました。
取り分ける時、友人のお父様が、
ザンポーネは少しでいいけどレンズ豆はたくさん、お金が入ってくるようにねって言ったのが微笑ましかったです!
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原 志津子/shizu kohara
シチリア州公認ガイド、日本語通訳。 当地在住14年(2016年時点)になりますが、歴史と文化の薫る、美しい自然のシチリアが大好きです。
日頃よりシチリアを中心に旅行客の皆様をご案内しながら、 素晴らしいシチリアの魅力を少しでも多くの皆様に知ってもらいたいと思っています。
自らも、おいしいものと旅が大好きで、愛車TOYOTA YARISでシチリア中をまわり歩く個人旅行者です。
趣味はシチリアの豊富な食材を使った料理で、得意料理はイカスミリゾット、カポナータ。
http://www.shizukohara.com/