Vol.15 冬のシチリア観光ガイド 雪のエトナ山編
エトナ観光の王道、雄大な地球の息吹を体験できる!?
サピエンツァ避難所からのロープウェーと雪上車観光
タオルミーナから車で約90分で、サピエンツァ避難所に到着。
写真右奥の白い建物がロープウェイ乗り場です。
その後 Funivie dell’Etnaが運行するロープウェーで、 2500mまで上がると、2500m付近はもうこんな雪景色。
夏は雪上車でなくジープなのですが、4月ごろまでは雪上車になりますので、
アドヴェンチャー感が増します。
2900mに到着。さすがに痛いほどの寒さ。
普通に真冬の装備で大丈夫ですが、装備が不安な方は、2500mのロープウェーを降りたところで レンタルジャケットとレンタル靴がありますのでそれを借りると良いです。
しかし太陽の力はすごい。
写真だとわかりにくいけど、表面は太陽光で溶け、それがまた凍って表面部分が飴細工のようにバリバリ。
その下はフワフワの柔らかい雪です。
そして目の前には頂上火口群がこんなにも近くに!
写真左の奥にある火口が中央火口群、写真右の手間にあるのが南東火口群。
南東加工群が一部灰色なのがわかりますか?
これは雪が降った上から灰が降ったからです。
エトナ山はヨーロッパ最大の火山で、頂上付近に活発な火口群が現在4つほどあり、
大きな噴火は数年に一度ですが、数時間程度の小噴火とか溶岩流は年に何度もあります。
近年南東火口群の活動は活発で、2010年の様子(下の写真)と比べると、
火口群が大きくなっているのがよくわかります。
2010年10月撮影(この年最後のジープ観光)
エトナ山ほどの火山になると、1日にして「山ができる(自らの噴火物でスコリア丘が形成される)」のも珍しくなく、 約60km離れたタオルミーナから見ても山の形が変わったことが見て取れるのです。
夏季にはここから、2002年にできた火口跡をエトナ山岳ガイド火山活動の説明などをしながら一周します。
ちなみに夏はこんな感じ(5月に撮影)。
一度閉じた火口からは2度噴火することはないとのことですが、
それでも蒸気が上がってくるのを見ると、地球の息吹を目の当たりに感じることができます。
ところで、火山活動を間近に見られるなんていうと、 怖いのではと思う方もいらっしゃるかもしれません。
特に日本では震災の前の新燃岳噴火、2014年の御嶽山の火山噴火がご記憶に新しいかもしれません。
人もそれぞれ性格が違うように、火山も様々です。
エトナ山の噴火スタイルは年に数回の小規模で短時間の噴火が起きます。
不平不満と一緒、溜めずに発散するのが良いようで、度重なる噴火があるからこそ大爆発にいたりにくいようです。
また、近年最も活発な南東火口から流れ出る溶岩流もその前に広がる、ボーべの谷という受け皿的なカルデラ谷があります。
上部から見たボーヴェの谷。黒々とした溶岩流が流れ込んでいるのがよく見て取れます。
通常訪れるコースではないのですが、通常コースの火山活動状況によっては2900mまで登らず途中のボーヴェの谷をみるということが稀にあります。
毎年何度もエトナ山を訪れていますが、新しい溶岩流だったり、灰が積もったりで、
訪れる都度にその姿が変化しているといってもよい、何度訪れても飽きることなくその魅力をみせてくれます。
…2900mまでロープウェイと雪上車 €72
次回のシチリアレポートでは、 「車窓からの景色も楽しめる エトナ周遊鉄道の旅」をお届けします。
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原 志津子/shizuko hara
シチリア州公認ガイド、日本語通訳。 当地在住14年(2016年時点)になりますが、歴史と文化の薫る、美しい自然のシチリアが大好きです。
日頃よりシチリアを中心に旅行客の皆様をご案内しながら、 素晴らしいシチリアの魅力を少しでも多くの皆様に知ってもらいたいと思っています。
自らも、おいしいものと旅が大好きで、愛車TOYOTA YARISでシチリア中をまわり歩く個人旅行者です。
趣味はシチリアの豊富な食材を使った料理で、得意料理はイカスミリゾット、カポナータ。
http://www.shizukohara.com/