Vol.35 華麗なバロックと甘美なチョコレートの街、モディカ その2
シチリアに来たら訪れたい!モディカチョコレート探訪
それではモディカチョコレート探訪です。
モディカにはたくさんのチョコレート工房がありますが、今回は街の中心にある比較的訪れやすいところを訪れてみました。
▼前回の記事はこちら
■老舗チョコレート工房ボナユート
創業1880年 小さな工房兼ショップですが、いつも人でいっぱいです。
店内に入るとすぐ目に入るのが、こちら。
これは実際につかわれていたカカオマスを伸ばす石の台。
こんな風に石の台の下を温めて、使っていたんですね。
店内は老舗らしい風格のある落ち着いた雰囲気ですが、
小さい店なので、いつもは人でいっぱいです。
色とりどりの各種フレーバーチョコレートは味見もご用意されています。
老舗だからといっても新製品開発に余念はなく、ホットチョコレート様のチョコレートフレークやチョコレートコーティングナッツ、これまたシチリア名産のオレンジピールのチョコレートコーティングしたもの、その他いろいろ。
近年ではチョコレート風味ビールなど地ビール生産者さんとのコラボ品もあります。
チョコレートリキュール(左)とチョコレートビール(右)
ちなみにビールを飲んでみましたが、黒ビールのような感じで、
ほのかにチョコレートの香りがするかなぁという雰囲気で意外と飲みやすかったです。
<SHOP DATA>
Antica Dolceria Bonajuto (アンティーカ・ドルチェリア・ボナユート)
Adress:Corso Umberto 159, Modica
Tel:+39 0942 941225
URL:http://www.bonajuto.it
■Pasticceria Di Lorenzo(パスティッチェリア・ディ・ロレンツォ)
こちらボナユートさんで長年経験を積んだチョコレート職人さんだった方のお菓子屋さんが
Pasticceria Di Lorenzo(パスティッチェリア・ディ・ロレンツォ)
http://www.pasticceriadilorenzo.it
こちらではモディカの街によくみられる石畳をイメージした、
Cuticciというシリーズのチョコレートがパッケージも可愛いです。
チョコレートだけでなくこの地方の伝統的なお菓子が昔ながらに作られています。
これはご贈答用の特別パッケージ。
何かの折に(例えば何かのお祝いの引き出物とか、アメニティー用なども扱っています。)
<SHOP DATA>
Pasticceria Di Lorenzo(パスティッチェリア・ディ・ロレンツォ)
Adress:Corso Umberto I, 225, Modica
Tel:+39 0932 945324
URL:http://www.pasticceriadilorenzo.it
さらに道を進んでいったところにあるのが、
Casa Don Puglisi カーサ・ドン・プリージ。
http://www.laboratoriodonpuglisi.it/prodotti.asp
若い主婦となった女性たちの社会復帰の場をというスタンスでできたチョコレート工房です。
パッケージもやさしげなお母さんが描かれています。
心なしかこちらのチョコレートはチョコレートの甘さもほんのり優しい味わいです。
お母さんやおばあちゃんが家で作るように愛情込めて手作りしたお菓子、
実際にここでお菓子を作っているのはみな主婦の方々です。
この地方伝統のひき肉入りチョコレートのお菓子 Mpanatigghie
<SHOP DATA>
Casa Don Puglisi カーサ・ドン・プリージ
Adress:Corso Umberto I, 267 – 97015 MODICA
Tel:+39 0932 193111
URL:http://www.laboratoriodonpuglisi.it/prodotti.asp
1962年創業の老舗のカフェもご紹介しましょう。
Caffe dell‘Arte
http://caffe-dellarte-di-macauda-giorgia-c-sas.business.site
こちらもお父様がその昔チョコレート職人さんでした。
今は息子さんが店を切り盛りしています。
お父様がお持ちになられているの、はかつて現役時代にドイツのジャーナリストが取材にきて出版された本だそうです。
こちらでは濃厚なホットチョコレートをいただいてみました。
表面すれすれまでのたっぷりのホットチョコレートに感動。
お好みで上にかけるパウダー三種、左から、ジンジャー、シナモン、ペペロンチーノ
とてもトローンとしているので、パウダーをかけても沈みません。
なのでまずは何もなしで、次に、一つかけてはスプーンですくって、また次のをかけて。。。という風に一つで4回美味しいチョコレートドリンクです。
カップの後ろにあるのはホットチョコレートパウダー(250g、6ユ-ロ)です。
こちらでいただいたホットチョコレート(2.5ユーロ)をご自宅で再現できます。
<SHOP DATA>
Caffe dell‘Arte
Adress:Corso Umberto I, 11497015 MODICA
Tel:+39 0932 943257
URL:http://caffe-dellarte-di-macauda-giorgia-c-sas.business.site
モディカは世界遺産の街でもあります。
1693年1月9日から10日にかけてシチリア南東部は多くの街が瓦礫の山と化した歴史的な大震災に見舞われます。
その後の復興でバロック様式の美しい街に再建された8つの街がヴァルディノート、後期バロック建築の街としてユネスコ世界遺産に登録されています。
世界遺産に選ばれた理由の中には大惨事から見事に再生した人間の不屈の努力も考慮されています。
大震災の後、華麗な街並みができたのはまさにシチリアだからこそ。
シチリアには当時300以上の爵位をもつ貴族(富裕階級)がいたのです。
これは他のどこにもみられないほどの貴族密度で、これらの富裕層が先頭にたって、復興を遂げたから比類なき美しい街並みができあがったのです。
彼らは競い合うように才能のある建築家をやとい、自分の屋敷、別荘、教会などを整え、建築家たちも建設ブームに乗って思う存分才能を開花させていったのです。
美しい都市景観も計算され尽くされました。
もともと装飾的なバロック様式ですが、さらに過度なまでに装飾的なのがこの時期のシチリアバロックです。
劇的、華麗、美を極めたバロック、他のどこよりも美しく競い合った結果なのでしょう。
モディカは渓谷にそって低いところに中心、その両側に斜面に街が広がるという都市構造なので、その斜面を生かした街並みが綺麗です。
街のシンボルである聖ジョルジョ大聖堂は街の中心地から250段の階段をのぼって行きますが、教会の反対側の高台の展望台から見ると、教会への階段のアプローチが劇的な印象となっています。
まさに計算された景観美。
しかしながら、みていて心地がよい、美しいと感じるのはこの時代の建築資材が地元の石だったからでしょうか。
土地の色をしているということで、人工的でありながらも温かみのある美しさが醸し出されています。
面白いのは高く美しく見せるために、実はファサードは建物本体よりもちょっと高く作ってあります。
横から見ると板が一枚はりついているような。。。。
はったりのファサードといった感じでしょうか。
これはここの教会だけではありません。
バロック教会の多くにこういったはったりファサードがよくみられます。
ファサードの上半分が「はったり」部分、はったりといっても立派ですが。。。
教会内部はやはり典型的バロック、華麗な漆喰細工です。
いかがでしょうか。モディカにはまだ他にもたくさんの美しい教会があります。
華麗なバロック建築と甘いチョコレート、甘美な街モディカ是非訪れてみてください。
- Author Profile
原 志津子/shizukohara
シチリア州公認ガイド、日本語通訳。 当地在住14年(2016年時点)になりますが、歴史と文化の薫る、美しい自然のシチリアが大好きです。
日頃よりシチリアを中心に旅行客の皆様をご案内しながら、 素晴らしいシチリアの魅力を少しでも多くの皆様に知ってもらいたいと思っています。
自らも、おいしいものと旅が大好きで、愛車TOYOTA YARISでシチリア中をまわり歩く個人旅行者です。
趣味はシチリアの豊富な食材を使った料理で、得意料理はイカスミリゾット、カポナータ。
http://www.shizukohara.com/