Vol.12 シチリアのクリスマス
▲タオルミーナのメインストリート
12月に入るとシチリアもクリスマスムード一杯になります。
クリスマスソングが流れ、どの街も電飾イルミネーションで彩られ、
クリスマスツリーや、ポインセチアなどが置かれ 華やいだ雰囲気となるショッピングストリートのそれは、日本と同じ…
というか、日本もキリスト教国と同じようになってきましたので、もうお馴染みですね。
イタリア語で「クリスマス」は生誕を意味する「Nataleナターレ」といいます。
クリスマスというと欠かせないのがクリスマスツリーですが、
イタリアを始めカトリック教国では、クリスマス時期、 キリストの生誕のシーンを人形の模型で再現するお飾り、Presepio/プレセピオを飾ります。
プレセピオという言葉には元々「飼い葉桶」という意味があります。
▲伝統的なプレセピオ 聖父ヨセフと聖母マリア、羊飼い、羊、牛、ロバなどのいる馬小屋に 飼い葉桶の中のキリスト、東方の三博士などの人形が置かれます。
大きさも様々で、等身大のものから、米粒のようなものまで…、
さらには、馬小屋の周りの農村風景、街全体の様子を再現するような大掛かりなものもあります。
このプレセピオを飾る習慣は13世紀、 ベツレヘムから戻ったばかりのアッシジ聖フランチェスコが行ったことから始まりました。
クリスマスの祝祭日は、大天使ガブリエルが聖母マリアに受胎告知したとする
12月8日の聖母マリア無原罪お宿りの祝日に始まり、 東方の三博士がキリストにお祝いの品を持ってお参りする
1月6日の御公現の祝日に幕を閉じますが、プレセピオもそれに合わせて飾られます。
通常キリストの人形は生誕に合わせて24日の夜中、
東方三博士は1月6日に置くといった形で、1月6日の次の週に飾り付けを取り外します。
▲大天使ガブリエルが聖母マリアに受胎告知する場面
どこの街でも教会やショーウィンドー、家庭の一角などあちこちで見られますが、
プレセピオというとその人形作りで有名なのがナポリ、シチリアではカルタジローネが有名です。
カルタジローネは世界遺産のバロックの街の一つで陶器の街として有名ですが、
すでに17世紀ごろから陶器のプレセピオ作りの記録があり、
18世紀にはジャコモ・ボンジョヴァンニをはじめとする巨匠たちが活躍し、
プレセピオ作りが絶頂期を迎えます。 カルタジローネでは毎年趣向を凝らしたプレセピオが作られ、
それらを見て回るプレセピオ巡りが人気です。
今年もプレセピオ巡りコース(12箇所のオフィシャルプレセピオ/大人一人 6ユーロ)が設けられています。
伝統的な陶器のプレセピオから、コットン人形のプレセピオ、 LEGO、パスタで作ったプレセピオなんていうものもあります。
ただ飾ってあるだけのものの他に、動くもの、 場面の明るさが変わって昼夜を表現するもの、エトナ山の噴煙が上がる!なんていうものまであります。
12箇所は全て市の中心部にあるので半日(3時間くらい)で全て見て回れます。
まずは市役所に1番があるので、ここで支払い、 カードと地図をもらって巡るのが良いでしょう。
市役所からほど近い4番のプレセピオは二年がかりで作成された カルタジローネの街を再現したもので、
大階段、市民公園の欄干など細部まで綿密につくられています。
▲カルタジローネのミニチュア・プレセピオ、大階段が忠実に再現されています。
他にもプレセピオ巡りでみた数々のプレセピオをご紹介します。
▲市役所の中庭にある、等身大テラコッタのプレセピオ
▲パスタで作られたプレセピオ
▲伝統的な陶器のプレセピオ、精巧に作られています。
▲コットンで作られた幻想的な雰囲気のプレセピオ
プレセピオのほかにも陶器ショップの ショーウィンドーがとってもクリスマスでした★
そして、こんなイベントも。
プレセピオ・ヴィヴェンテ
12月25日、26日、1月6日、7日、8日(16:00~22:00)には実際の人間が聖書の人物に扮する
「Presepio Vivente プレセピオ・ヴィヴェンテ/生きたプレセピオ」のイベントが行われます。
次回は、さらに街を歩きながら楽しめる!
プレセピオ&おいしいレストランをご紹介します。
→続きはこちらで!
- Author Profile
原 志津子/shizu kohara
シチリア州公認ガイド、日本語通訳。 当地在住14年(2016年時点)になりますが、歴史と文化の薫る、美しい自然のシチリアが大好きです。
日頃よりシチリアを中心に旅行客の皆様をご案内しながら、 素晴らしいシチリアの魅力を少しでも多くの皆様に知ってもらいたいと思っています。
自らも、おいしいものと旅が大好きで、愛車TOYOTA YARISでシチリア中をまわり歩く個人旅行者です。
趣味はシチリアの豊富な食材を使った料理で、得意料理はイカスミリゾット、カポナータ。
http://www.shizukohara.com/